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あっさり
あっさり
あっさりとは、濃度が薄いさま、さっぱりしたさま、淡白なさま、しつこくないさまを言う。深度を表す「浅い」から来ている語であり、薄い、軽薄、深みがないというネガティブなイメージもあるが、現在ではどちらかというとポジティブな使い方をされている。例えば、「あっさりした性格」は淡白な性格という意味だが、対照的な「くどい性格」「しつこい性格」と比べて好ましい性格の印象がある。しかし、この対語を「ねばり強い性格」などと置き換えると、「あっさりした性格」も諦めが早い軽薄な性格という印象が強くなる。したがって、同じ性格を表す場合も「さっぱりした性格」などと言えば、より好感度が増す。また食べ物においては、「あっさり」の対語は「こってり」がよく使われる。これは脂っこさの程度を表す語で、こだわりの強いラーメン店では同じ商品でもどちらかを選べる場合がある。ラーメン屋で「さっぱり味」があまり聞かれないのは、この語が「売り上げがさっぱりだ」のような使い方をされるせいかもしれない。また、「さっぱり」した麵類というと、どうしてもソーメン流しのソーメンを連想しがちで、ラーメンの味にはそぐわないのも一因だろう。
「あっさり」はまた、「私の提出した企画はあっさり却下された」などと使われるが、これは検討されることもなく却下されたということで、要するに「無視された」ということ。しかし「私の企画は無視された」と言うより、「あっさり却下された」の方が、「まあ、無理もねえなあ」という諦め感が強い。つまり「あっさり」は、好ましいにせよ好ましくないにせよ、あっさりした淡白な使い方をされているのだと考えられる。
古語に「あさあさ」という語があり、色味が薄い、和歌などの表現に深みがない、さらっとして軽いなどの意味で用いられる。「あっさり」と似た使い方だが(もちろんラーメンのタイプには適用されない)、どちらかというとネガティブな意味合いが強い。「あさあさ」から変化した「あっさり」は、江戸っ子の好みあたりからポジティブな使い方になったのではないかと筆者は考える。
(KAGAMI & Co.)