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おこがましい
おこがましい
おこがましいとは、バカみたいだという意味で、「をこがまし」として古くから用いられている言葉。現代では、主に人間関係の上下のマナーを心得ないバカについて、「身のほど知らず」という意味あいで用いられている。つまり「身のほどを知らないバカ」専用の言葉であるから、あなたのまわりにたくさんいる他の種類のバカのみなさまに適用するのは失礼にあたる。
「おこ」は古くは「をこ(烏滸)」で、ばかげている、ばかなことをするという意味。「がましい」は、うるさい、さわがしいという意味の「かまし(囂し)」からきていて、「差し出がましい」や「押し付けがましい」などと使われているように、うるさくていやな感じだというニュアンスを表す接尾語。したがって「おこがましい」は「バカっぽくていやな感じだ」という意味合い。「おこ」は現在、この言葉くらいにしか使われていないが、古くは『記紀』にすでに用いられ、バカなことをするヤツをさして「をこなり」「をこの者」などとさかんに用いられていた。「をこ」の古形は「うこ」で、漢字としては愚、烏滸、尾籠、袁許、于古、嗚呼などが当てられているが、「愚」「烏滸」は、現代でも当て字として使われている。また「尾籠」は「びろう」と読んで、下ネタを言う際に「尾籠な話で失礼しますが」などと使われる(普通の人はあまり使わない。昔の落語家くらいか)。
語源は明らかではないが、当て字の「烏滸」が『後漢書 南曼伝』などに登場する南方の少数民族または古代国家をさしていて、中国は周辺の民族をのきなみ蔑視していたので、その意が輸入されてバカにすべき対象を「をこ」と呼ぶようになったのではないかというムリムリな感じの説がある(つまり、「烏滸」は当て字ではなく、こちらが元祖)。しかし「烏滸」を普通に読むと「うこ」なので、読みの点から納得できないでもなく、平安時代に「うこの芸」といって、中央アジアから伝えられたというものまね芸があり、猿楽に発展したといわれることから、「をこ」を中国つながりと見る(つまり漢字がもと)のは不自然ではない。和語を語源と考える説では、「う」または「を」が原語で「こ」は形容接尾語の「か」の変、または「子」ではないかというものがある。「う」または「を」については、ウサギの「う」や小川の「お(を)」、尾っぽの「お(を)」、魚の「お(を)」、さらに「浮く」の「う」ではないかとする説もあるが、浮くの「う」はワ行の「を」と結びつかないので疑問が残り、他の説も「言えばいいってもんじゃない」どまりのような気がする。(VP KAGAMI)