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この日本語辞典の使い方(ホーム)>「そ」で始まる言葉>そそこはかとない、そこはかとなくの意味
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そこはかとない、そこはかとなく
そこはかとない、そこはかとなく
そこはかとないとは、どこがどうとは言えない、はっきりとは言えない、何とはない、という意味。そこはかとなくは、形容詞の連用形で、どうがどうとは言えないが、はっきりとは言えないが、という意味になる。「そこはかとない香りが漂っている」「そこはかとく郷愁を感じる」のように、弱くかすかに感じる感覚や感情について使う。つまり、他人のせいにできそうなおならの臭いなどを表すのに適している(やめといたほうがいいが)。
「そこはかと」は、「其処は彼と」で、「その場所、その部分(其処)は何々であると(彼と)明示して」つまり「はっきりして」という意味あいの言葉で、平安時代には「ない(無い)」を付けずに使っている文例が多いが、例えば『源氏物語』には、「顔かたちも、そこはかと、いづこなむすぐれたる、あな清らと、見ゆる所もなきが」つまり「顔立ちも、はっきりとどこがすばらしいとか、ああ美しいと見えるところもないが」のように、ずっと肯定表現を続けながら「最後で落とすんかい」みたいに、結局「そこはかと」を否定する文章に仕上げられている例文があり、ほかの文献でもこういう使い方をされている。つまり「そこはかと」ははじめから「そこはかとなか」ったのであり、平安末期から鎌倉時代にかけての文献では「そこはかと」で、「そこはかとない」という意味での使い方がなされている。
なお「そこはかと」には、「そこ」+「はか(計)と」ではないかとする語源説もある。「はかと」は「目当てにして」という意味で、「いずこをはかと(どこを目当てに)」という使われ方をしているところから、「そこはかと」も同じではないかとするわけで、結局「其処は彼と」でも同じような意味合いになるのでどちらでもいいようなものではある。とはいえ、「はか(計)と」なら「そこをはかと」のように、「はか(計)と」であることをはっきりさせる使い方もありそうなものだが、そのような例は見られないので、まあ「其処は彼と」が語源と考えていた方が無難なようだ。
(VP KAGAMI)