先行逃げ切りとは、「先行」と「逃げ切り」を合わせた語で、「先行」は競馬などでレース前半で飛び出して走ること、「逃げ切り」は先行したものがそのままトップを守って勝利することをいう。そのように先行して逃げ切ることを先行逃げ切りといい、その走り方を得意としている馬を「先行逃げ切り型の馬」という。しかし、先行逃げ切り型の馬は、前半はトップを独走するものの後半になると他の馬に追いつかれ、結局下位に沈む場合という状況が判で押したように毎回展開される。つまり先行はするが結局逃げ切れずに終わるのであり、先行逃げ切り型というのは名ばかりで実際は「先行逃げ切れず型」せいぜい「先行逃げ切りたい型」といったほうが正しい。

　先行逃げ切り型の馬は、おそらくスタミナ不足なのであり、少しでも勝つ可能性をもとめて先行型の戦術をとっているに違いなく、まれにそういうタイプの馬がそのまま逃げ切って勝ってしまう場合もある。しかしスタミナ不足なのは、そんな無茶な走り方をするせいだとも考えられる。実際、実力のある馬はそんなバカな走り方はせず、スタミナを貯めて後半一気に勝負に出る（中には、先行馬につられてそれを追いかけようとするおっちょこちょいな馬もいるのかもしれないが、それは騎手が許さない）。先行逃げ切り型の馬も、他の馬のように相手の出方を見ながら後半勝負に賭けたらどうなのかとも思うが、それではぜったい勝てないからこそそういう無茶な走りをするのであり、「オレの馬のことを知りもしないくせに、勝手なこと言うな」と調教師や騎手に叱られそうである。（VP KAGAMI）