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関連用語
刃傷沙汰
にんじょうざた
刃傷沙汰(にんじょうざた)とは、刃物による殺傷事件をいう。「刃傷(にんじょう)」は刃物で人を傷付けること。昔は手頃な武器といえば刀なので(失言か?)、このような言葉が使われたと思われ、現在のアメリカならさしずめ「ガンじょうざた」とでも言おうか。「沙汰(さた)」は接尾語的に使われた場合、話題になっている事件といった意味合いとなる。現代でも包丁で人を傷つけるような事件もあり、「刃傷沙汰」と呼んでもさしつかえなさそうだが、包丁であまりに迫力がないので(失言か?)、「殺傷事件」程度のおもしろみのない表現ですまされている(失言を重ねたか?)。
日本史上もっとも有名な刃傷沙汰は、『忠臣蔵』の松の廊下事件だが、戦国時代のように刀を振り回すのが当たり前の時代の戦闘や事件を「刃傷沙汰」とは言わず、そのような事件が珍しく、人々のうわさになった場合(『忠臣蔵』など芝居になって現代までそのうわさが流布されている)に使われる。
「刃傷」は漢字をそのまま解釈すると刃物による傷で、中国語ではその意味で使われるが、熟語、つまり一語として常用される語とまでは認識されず、刃物による殺傷というような日本流の用い方もされていない。
なお「刃傷(にんじょう)」は「人情」と読みが同じなので、「刃傷沙汰」を「人情沙汰」と勘違いしている人もいる。現代では「人情」は、相手に対する同情や憐れみなどの気持ちを表すことが多いが、本来は人としての基本的な感情を意味するので、松の廊下で浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)、芸名塩冶判官(えんやはんがん)がかっとなって刀を振り回した事件も「人情沙汰」と呼んでもさしつかえなさそうであり(間違いですが)、「刃傷沙汰」にも「人情」の意味合いが影響しているとも考えられる。
(VP KAGAMI)
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