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寵児

ちょうじ

 寵児(ちょうじ)とは、人々にもてはやされる人。「時代の寵児」は、その時代の人々にもてはやされる人、つまり人気者という意味だが、そこらへんの人気タレントを表すにはちょっとおおげさで(いちいち寵児あつかいしていたら、世の中寵児だらけになってしまう)、その時代にただ一人(なにをやらかしたかはともかく)くらいの特別感がないと使用されない。なぜ「寵児」にそのような特別感があるかというと、私見だが、「寵児」の「寵」が、スーパーの「超」が、「児」が「人」にシンクロし、「超人」つまり「スーパーマン」といったニュアンスが含まれるからではないだろうか。

「寵」は、恩寵、寵愛などと使われるように、恵み与える、いつくしむという意なので、「寵児」は特別にかわいがって育てている子どもというのが本意。そのため冒頭の意味で用いるには、「文壇の寵児」とか「ポストモダンの寵児」のように、一定のジャンルや潮流を指定する必要がある。

 なお「寵児」という語は、かわいがられている子どもという意味でも、世間にもてはやされる人という意味でも、中国語にはほとんど見られない。「寵」という字は神像を安置する家屋を意味し、そのこころは神様が人間に与える恵み。これも私見だが、神様は本来与えなくてもいい恵みを人間に与えているので(お堂に籠もって熱心に拝んでいたかなにかの理由で)、「寵愛」(与えてはいけない人にまで恵みを与えているし)のような使い方は可能だが、恵みやいつくしみをあたえて当然な子どもにはこの字は適さないのではないだろうか。

​(VP KAGAMI)

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