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巣喰う、巣食う、巣くう

すくう

 巣くうとは、鳥が巣を作るように人が集まって組織を作り活動するという意味だが、主に社会の害になる者の集まりについて言われ、「大都市に巣くう闇の組織」のように使う。巣を作るというのが原義なので、別に世の中に益をもたらす人々について「慈善活動団体が巣くっている地域」などと使ってもよさそうなものだが、そういう用例は見当たらない。つまり、社会の中に異質なもの(鳥のような)がやってきて巣を作るという迷惑さがこの言葉には含まれているといえる。

「巣くう」は鳥などが巣を作るという意味だが、すなおに読めば「巣を食べる」という意味となり、中華料理の話かと勘違いしてしまいそうだ。これは鳥が枝などをくわえてきて巣を作るさまを言っているらしく、『日本書紀』にはすでに巣を作るという意味で用いられている。とはいえ、やはり「食う」には違和感があり、「社会をむしばむ悪」のように類似の使い方をされる「むしばむ」が「虫が食う」というわかりやすい意味であるのに対して、巣を食ってどうするというひねくれ者のクレームが聞こえてきそうである。(VP KAGAMI)

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