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はし

 橋とは、川や谷、道路などの両側に架け渡す構造物。川や谷などで分断されている両側を結んで往来できるようにする機能が「はし」の主目的であり、行く手を阻む障害を乗り越える手段、あるいは別世界への架け渡しという意味で詩人の心を刺激し、トラブルの川を渡る橋が日本語訳では明日に架け渡す橋になったりする(“Bridge Over Troubled Water”「邦題:明日に架ける橋」サイモン&ガーファンクル)。

「はし」という言葉も、離れている両側を結ぶという意味合いを持ち、船と陸地を往復する小舟は「はしけ」、建築物の上階と下階を結ぶ階段は「階(きざはし)」、簡易なものは「はしご」と呼ばれる。また、「目端が利く」の「めはし」は本来「目橋」で、ものごとをよく見渡せるというのが本意だとする説もある。

「はし」という和語で言い表される言葉には、この「橋」のほか、中心から遠い部分を表す「端」、食具の「箸」、鳥のくちばし「嘴」などがある。これらは語源を同じくするという説もあり、川の「両端」を結ぶから「橋」だとか、口の「端」のほうだから「嘴(はし、くちばし)」だなどと、いろいろな説が出されている。そこで、それぞれの「はし」をアクセント(日本語のアクセントは高低アクセントで高い音がアクセントを置いた音になる)から調べてみると、現代標準語では、1.「橋」は2語めにアクセントを置き、2.「端」はアクセントがなく、3「箸」と「觜」は1語めにアクセントを置く。さらに平安時代ころのアクセントを調べると、1「橋」と同じ意味の「梯(はし)」、きざはしの「階(はし)」、「觜(くちはし)」の「はし」はいずれも1語めにアクセント、2.「端(はし)」は平板な発音、3.「箸」を意味する「筯(はし)」「筴(はし)」は2語目にアクセントが置かれ、「橋」と「箸」は現代標準語の逆になり、関西弁みたいなヘンな発音となっている(都があった関西の方が昔からの正当な発音だといえば、そりゃあそうでしょうとも)。現代とはひっくりかえってはいるが、アクセントの面から「橋」、「箸」、「端」は別系統の言葉と言えなくはないが、「嘴」の「はし」は昔は「橋」の仲間だったが、現代では「箸」の仲間に入っていて、アクセント面の違いから語源の違いを言うのは、そう厳密に考える必要もないのかもしれない。(VP KAGAMI)

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