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正直の頭に神宿る

しょうじきのこうべにかみやどる

 正直の頭(こうべ)に神宿るとは、正直な人は必ず神が守ってくれるという意味。つまり、ことわざの王道、正直のススメである。「神は正直の頭に宿る」ともいう。一見して、聖書にでも出てきそうな言葉だが、キリスト教などの神は人の頭にひょいひょい泊まりに来たりしないので、日本のことわざと知れる。日本では中世の書物にすでにあらわれ、江戸時代を通じてよく使われた言い回しだが、近年は、正直だからって神様が来てくれたという実感がないせいか、あまり使われていない。実際、国家の外交や貿易で正直を旨として相手国に接しても、どこかの反社国家が(「商売上手な」と言っておこうか)成果をかっさらっていくケースもまま見られ、このことわざも影が薄い。とはいえ、近年はそんな反社国家のボロが見えはじめており、正直外交にもそろそろ神が宿ってもいいころである。

 ところで、「正直の頭に神宿る」はすなおに読めば「正直のあたまに神宿る」となるが、それだとぼさぼさの髪にカラスが巣を作りに来るみたいで(熊野大社のお導きだね、きっと)、ここはむかし通り「正直のこうべに神宿る」と読まなければならない。「こうべ」は漢文訓読でよく使われた読みであり、文語的な表現といえ、神が宿るのにふさわしい場所となる。(VP KAGAMI)

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