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肉じゃが

にくじゃが

 肉じゃがとは、牛肉または豚肉とじゃがいもの煮込み料理。醤油、砂糖、酒、みりん、出汁などで味付けしている。家庭料理または居酒屋のメニューとして人気があるが、日本食の切り札である定食メニューとしては影が薄い。それもそのはずで、居酒屋などで出される肉じゃがは、ほぼじゃがいもで肉は申し訳程度入っているだけ。でんぷんたっぷりのいも(いも料理)をご飯のあてにするのはなかなか難しく、思いつくものでもせいぜいコロッケであり、コロッケもまた定食メニューとしては大人気というほどではない。肉じゃがもマッスルアップ(肉量を増やす)すればどうにかなるかもしれないが、そうなると肉じゃがはすき焼きだの牛丼だのと競合しなければならず、それらと比べた場合、じゃがいもがどうしてもじゃまである。やはり肉じゃがは、家庭料理または居酒屋メニューとして「不動の七番打者」という地位がお似合いではないだろうか(おかしな例えだ)。

 最近テレビのグルメ番組でしばしば取り上げられて皆さんよくご存じのように、肉じゃがは日本海軍の英雄・東郷平八郎が留学先のイギリスで食べたビーフシチューの味を再現しろと料理長に命じ(「あの味が忘れられないんだよね~、作ってみてくれない」程度だったかもしれないが)、バターなど基本材料がないところを料理長が苦心して作ったものという逸話が残されている。これについては疑問も多いようで、それ以前からすでに料理屋ではこの種の料理が作られていたとも、海軍の艦上食として提供されていたともいわれている。考えてみれば確かに、牛鍋の肉をケチるためにじゃがいもでかさ増ししたのが肉じゃがといえばいえないこともなく、東郷元帥発祥説は都市伝説止まりなのかもしれない。それに、東郷元帥がこの料理を食べて、「ああ、これこれ。本場の味だよ」と満足していたとしたら、「ん、味オンチか」というようないらぬ疑いをかけられることにもなるだろうし…。(VP KAGAMI)

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