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荒唐無稽

こうとうむけい

 荒唐無稽とは、発言や表出された内容に現実味がなく、でたらめのように感じられること。最近の言葉で言えば「ぶっとんでること」。「荒唐無稽なSF小説だ」などと使われるが、SF小説はそもそも荒唐無稽であることがひとつの条件となっているので、この種の発言は意味をなさない。荒唐無稽な内容をいかに現実感をもたせて見せるかがSF小説のキモなので(少なくとも、売れるSF小説の…)、それをほめるなら「荒唐無稽ではないSF小説」と言わなければならない(誤解を恐れるなら「荒唐無稽さを感じさせないリアルなSF小説」とでも言っておけ)。

「荒唐」も「無稽」もそれぞれ中国古典に登場する語だが、それを組み合わせた「荒唐無稽」という語は最近の用例しか見られない。「荒唐」の「荒」はだだっ広いこと、「唐」は大きいという意味。「無稽」の「稽」は考えることであり、「無稽」はつまり「考えなし」。というわけで「荒唐無稽」は考えもせず口から出まかせに言い放たれたでたらめなホラ話のような、といったニュアンスになる。そうなると、「SF小説は荒唐無稽が条件」とした前言は、当方としても考え直さなければならない。 

​(VP KAGAMI)

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