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重重、重々

じゅうじゅう

 重重(重々)とは、重ねて、という意味で、何度かくりかえされる指示や主張に対して、確実に、疑いなくといった気持をこめて「重々承知しました」「重々ごもっとも」などと使われる。要するに、念押しに対する念押しの返事(念返しとでも言おうか)である。「重重(重々)」を訓読みした「かさねがさね」も、重ねてという意味だが、こちらは当方が何度も失敗をくり返したような場合に「かさねがさねの不始末」、何度も不運に見舞われている人に対して「かさねがさねのご不幸」のように用いられる場合が多い。この微妙な差がなぜ生まれるかというと、私見では、「かさねがさね」という和語のほうが生活実感に近いからで、漢語の「重々」のほうは、相手の言うことを「しつこいなあ」とか「うっせえなあ」などと感じているが、お偉いさんの言うことなので格式張った漢語で形式的に返事しておけば間違いないだろうという気分で発せられているのである。

​(VP KAGAMI)

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