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面の皮が厚い、ツラの皮が厚い

つらのかわがあつい

 面の皮が厚い(ツラの皮が厚い)の「面の皮」とは顔の表皮のこと。顔の表皮が厚ければ表情が乏しくなると考えられるので、「面の皮が厚い」は、どんな非難を受けても顔色をかえたり、表情に表れたりしないふてぶてしさを意味する。表情が変わらないという点では「ポーカーフェイス」と同類の言葉だといえそうだが、「ポーカーフェイス」がどんな強い手役がついても眉ひとつ動かさないクールさを肯定的に言い表しているのに対して、「面の皮が厚い」は鈍感、ずうずうしい、腹黒いといったネガティブな印象の強い言葉である。ただ、「ポーカーフェイス」なヤツはもちろん、「面の皮が厚い」ヤツも、ポーカーをやったらゼッタイ強そう、という点では共通している。

「厚顔無恥」に使われている「厚顔」は、まさに「面の皮が厚い」という意味で、中国語にも存在する熟語だが、現在はあまり使われていないらしく、ネットで検索すると、日本語関連の辞書や解説が出てくる。しかし使用例は古く、『書経』『詩経』などでは「心では泣いているが、顔は無表情(顔には出さない)」のように、ポーカーフェイスの意味で使われている。その無表情さが、ネガティブな意味で広まったのが日本だといえるかもしれない。

「面の皮が厚い」を極端にしたのが「鉄面皮(てつめんぴ)」で、こうなると鉄仮面をかぶったようにほとんど人間的な感情の起伏のない冷酷無慈悲な人物を表現することになる。鉄面皮なヤツともなると、ポーカーなんかに参加さえしそうもないので(鉄仮面みたいなヤツが参加したとしても、誰も相手をしそうにない)、少しは人間らしさのある「面の皮が厚い」ヤツや「ポーカーフェイス」なヤツとほとんど共通点はない。

​(VP KAGAMI)

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