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から揚げ、唐揚げ、空揚げ

からあげ

 から揚げとは、食材に小麦粉や片栗粉を軽くまぶして揚げる調理法、またその料理。「唐揚げ」と書くこともあるので、中国から伝わった調理法だからそう呼ぶのかと思いきや、もとは「空揚げ」と書き、食材をそのままあげる素揚げ料理を言ったらしい。それなら「から」は、衣を着けずに「空(から)」で揚げるからではと思うと、からっと揚がるから「から」だという冗談っぽい語源説が有力視されている。

 油で揚げる料理そのものは精進料理などで古くから作られていたが、現在のから揚げの料理法は、カツ、フライ、天ぷらなどと同様、ヨーロッパから伝わった揚げ物の手法が広まったもの。から揚げは、カツや天ぷらなどと比べて具材のバラエティが少ない。そのため、串カツや天ぷらのように各種の具材を揚げて提供する専門店はなく、主に居酒屋メニューに組み込まれるか、鶏のから揚げのように単品を扱うテイクアウトを主とする店が主である。から揚げの具材の種類が少ないのは、私見では、衣の薄さに原因があると考える。カツや天ぷらは、肉や魚を味わいつつ、小麦粉の衣とのマッチングを楽しんでいるのであって、これはご飯におかずを合わせて食べる日本人の食習慣をコンパクトにまとめているようなものだ。ご飯のおかずがバラエティに富んでいるのと同様、カツや天ぷらの具材は多種多様だが、から揚げは具材の味に集中するため、具材は限られてくる。にもかかわらず、日本のから揚げの完成度は高く、最も人気を誇る鶏のから揚げは、日本のディープフライ文化の一翼を担う重要食品となっている。このジャンルにはアメリカの強力なライバルがおり、日本のから揚げはその質において決して劣るものではないものの、販促手法に劣っているため、、トンカツなどのように独占市場を築くにはいたらず、テイクアウトや居酒屋メニューとしてゲリラ的な人気を誇っている。(KAGAMI & Co.)

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