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犬も歩けば棒に当たる

いぬもあるけばぼうにあたる

 犬も寝ているうちはなにごともないが、散歩をすれば棒にぶつかる場合もあるという意味で、人は何か行動を起こすと思いがけない災難に遭うものだから十分気をつけなさいという例え。江戸のいろはがるたではいの一番に登場する読み札であり、かるたも「いぬぼうかるた」の愛称で呼ばれることがある。一方、上方(関西地方)のかるたでは「一寸先は闇」という、「犬も歩けば棒に当たる」より意味がわかりやすいことわざが採用されている。

 最近このことわざは、「犬も歩けば棒に当たると言うから、考えてばかりいないでとにかく行動を起こしなさい」と、「棒に当たる」を災難ととらえず、「行動を起こせば幸運に巡り会う」つまり「叩けよさらば開かれん(『新約聖書』)」や「人事を尽くして天命を待つ(『読史管見』)」のようにポジティブなことわざとして用いられる場合も多い。しかし、どう考えてみても「棒に当たる」は幸運な出来事とは思えず、「犬も歩けば棒に当たる」は、「口は災いの元」などと同様、よけいな行動や発言は災いにつながるから控えたほうがよいという、日本人の「待ちの姿勢」をかいまみさせる例えとなっている。(KAGAMI & Co.)

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