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脱帽

だつぼう

 脱帽とは、帽子を脱ぐことだが、「彼の才能には脱帽する」のように、敬服すること、降参することという意味で用いられる。欧米で帽子を脱ぐのは相手に敬意を表す挨拶だが、そこから「帽子を脱ぐ」という言葉は、相手の力や技能を認めて賞賛するという意味で使われる。日本語の「脱帽」は、欧米の「帽子を脱ぐ」より勝ち負けの「負け」のニュアンスで言われることが多い。これは日本に古くからある「兜を脱ぐ」という言い方が、兜をかぶって街をうろちょろしている人もみかけなくなったころ、「帽子」に置きかえられたからかと思われる。兜を脱いで戦意喪失した姿はリアルに「降参」を表しているが、帽子を脱ぐ行為には相手を認めてたたえる程度の意味あいしかない。「帽子を取る」が負けを認める態度としてものたりないのはそんな事情がある。

 「降参する」には、他に「白旗を揚げる」という言い方があるが、「白旗を挙げる」が相手との直接の対戦で負けを認めることであるのに対して、「シャッポを脱ぐ」「脱帽」は、他人と戦っている人や、ある分野で能力を発揮している人を見て、自分が対戦してもかなわない、自分より能力が高いと認める場合に多く用いられる。やはり直接相手に負けたという意思を示すには帽子を取るだけでは弱く、戦いに負けそうなときあなたがそんなことをしても、殺気立っている相手は「なんだこいつ、いまごろ帽子なんか取って、オレをばかにしてんのか」と、さらにあなたをボコボコにするに違いないのである。(KAGAMI & Co.)

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