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この辞典の使い方(ホーム)「こ」で始まる言葉>互角の意味、語源

カテゴリー:慣用語

 

互角

ごかく

 互角とは、競い合っている両勢力の優劣がつけにくい状態を言い、「互角の戦いをくりひろげている」などと使う。互角は『平家物語』『太平記』などでは「牛角」と書かれ、明治時代の小説『浮雲』でも「牛角」が使われているが、室町時代ころから「互角」という表記が優勢になったようだ。もちろん現在は、「牛角」とネットで検索しても焼肉屋しか出てこない。

「牛角」は、牛の角が左右ほぼ対象であるようにお互い類似しているものを言ったらしく、『平家物語』では、「仏法王法牛角也(仏法と世俗の規律は本質は同じである)」のように使われていて、「源氏と平家はいまんとこ互角(牛角)だね」みたいな使い方ではない。それがいつしか競い合っている両勢力の優劣がつけにくい状態を言うようになったようで、漢字も「互角」が使われるようになった。

「牛角」も「互角」も現代中国にはないようだが(牛角で調べるとやっぱり日本の焼肉屋が出てくる!)、『大言海』では、中国・元代の徐行善が編纂した法華経の注釈書『科註妙法蓮華経』に「依我見而邊見、如牛頭両角耳(我執にとらわれると偏見に陥る。我執と偏見は牛の二つの角のように同じものだ)(注:意訳が間違っているかもしれません。専門家のご教授を願います)」という例文が載っている。『科註妙法蓮華経』が成立したのは『平家物語』とほぼ同じころ(13世紀)で、諸国に広まるのはその後のことだから、『平家物語』の「牛角」が『科註妙法蓮華経』を引用したとは考えにくく、それ以前に「如牛頭両角耳」とか「牛角」といった例えが中国にあり、それが日本に伝わって「牛角」や「互角」になったとみるのが自然である。

(注:本項は筆者の未熟な知識で書かれているため、偉そうなことを言っていますが講談師の発言ほども真実味がありません。この件に詳しい方のご教授を願います)。(KAGAMI & Co.)

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