関連用語
K-POP、Kポップ
けーぽっぷ
K-POP、Kポップとは、韓国のポピュラーミュージック。一般的な理解では、主に芸能プロダクションにより育成された歌とダンスを披露するグループの音楽を言う。
近年「K-POPのアーティストはJ-POPのアーティストより歌もダンスもうまい」と主張する人がいるが、この発言に日本人一般は違和感を覚える。その原因は「歌やダンスがうまい」かどうかではなく、「K-POP」と「J-POP」の比較にある。「K-POP」については、この発言者も日本人一般の理解もほぼ同じで冒頭で説明した通りだが、「J-POP」については、発言者はK-POPと同じ、芸能プロダクションにより育成された歌とダンスのグループ、日本ではアイドルグループと呼ばれるタレント群による音楽をさしているが、日本人の理解では「J-POP」は、シンガーソングライター、ロックなどのバンド、ラップのユニットなど多岐に渡る音楽を言い、アイドルグループはその一角にすぎない。むしろ、他国に対して「J-POP」と言う場合は、シンガーソングライターやバンドの活動をさすことが多く、アイドルは視野に入っていない。だから「歌やダンスが」と言われても、「シンガーソングライターは踊らねえし…」という違和感、「なに言ってるかわからない」感覚におそわれるわけである。日本人に理解しやすい発言に正すなら、「K-POPのアーティストは日本のアイドルグループより歌もダンスもうまい」と言う必要があるだろう。もっとも相手の気持ちがよくわかる日本人の多くは「あ、きみはアイドルのことを言ってるんだね」と斟酌して話を合わせ、しかも興奮している相手をあまり怒らせたくないので「確かに歌もダンスもうまいかもしれないね」と言って喜ばせるのが普通だ。
K-POPは日本の芸能プロダクションによるアイドル育成とそのプロモーションシステムをモデルとしつつ、ネットによるランキング操作などあらたな戦術を加え、さらにパフォーマンスにおいてはアメリカのアーティストのレベルをめざして世界に進出した。しかし結局のところ、最大の収益を上げているのは日本市場だそうで、世界、特にアメリカでは限界を迎えている。その歌やダンスのレベルがどの程度かは知らないが、おそらくアメリカのショービジネスの世界では二流であり(異論のある方は直接アメリカ人に聞いてください)、似たようなグループがアメリカの音楽をまねした同じような歌と踊りを披露しても、アメリカ人にとっては退屈である。
K-POPは日本のアイドルをモデルにしているので、日本でウケるのは当然で、いまではそのプロモーションでは必ず「世界で人気」というひと言を加えて、ファンのプライドをくすぐっている。ただ、彼らはしょせん外タレにすぎないので、日本のアイドルグループにはなれない。日本のアイドルグループの魅力はその友だち感覚の親しみやすさにある。友だちは「いつでも会える」という利点があり、アイドルはマスメディアなどへの露出を増やすことに注力している。アイドルにとって歌やダンスは特技みたいなものであり、中には「特技」にも達していないような者もいるので、マスメディアへの露出を増やすために俳優業や司会業にも積極的に参入する。K-POPのアーティストは外タレなので「友だちづきあい」には限界がある。ひと昔前の韓国のアーティストはこの「友だち感覚」を理解しており、日本語をならったり、日本のマスメディアへの露出を増やして、いまでも固定的なファン層がある。しかし現在のK-POPのアーティストは戦略を変え、「世界でヒット」「世界で人気」を合言葉にしている。現在日本では、アメリカの世界的に有名なアーティストでさえ、国内アーティストの人気にかなわない。K-POPが「世界で人気」というプロモーションを続けているかぎり、日本での人気は拡大しないだろう。とはいえ、日本のファンは一度「友だち」になると、いつまでも相手のことを忘れないので(日本に毎年やってきたベンチャーズを見よ)、日本で稼ぎたいなら、米タレ気取りはやめて、ファンとのおつきあいを大切にしてほしいものである。
(VP KAGAMI)