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関連用語
あからさま
あからさま
あからさまとは、隠さずありのままという意味で、「文春砲により内部事情があからさまになった」などと用いる。これは「内部事情が明らかになった」とほぼ同じ意味だが、「明らかになった」が客観的で冷静な言い方であるのに対して、「あからさま」は、本当は隠しておきたかった、そっとしておいてあげればよかったのに、ムリムリ曝露してやった……という気分が漂う言葉であり、「あらわ」「むき出し」「露骨」「赤裸々」などと似たニュアンスがある。世阿弥の「秘すれば花」ではないが、日本人にはこのように、なんでもかんでもむき出しにすればいいってもんじゃないという心性があり、その気持ちがこれらの言葉にあわれていると言える。
「あからさま」は、古くは、少しの間、ついちょっと、さしあたりなどの意味で使われていたらしい。「あから」は、散開するという意味の「あかれ(散れ)」の古形で、「別れる」などとも同源の言葉。「さま」は漠然とした方向を表し、その場をちょっと離れてどこかに行くことが「あからさま」のもとの意味で、そこから、ちょっとの間、さしあたりなどの意味が派生したらしい。しかし、現代のわれわれには「あから」は「明らか」の「明ら」としか思えず、「ちょっとの間」「さしあたり」などの意味は浮かばない。それは中世の識者も同じだったらしく、11~12世紀ごろ成立した辞典『類聚名義抄』では「あからさま」に「白地」という漢字を当てている。「白」は「著し」と同じく明るくはっきりしているという意味があり、やはりわれわれ同様という勘違いをおかしている。江戸時代には使われ方も現代と同じになり、もとの意味が忘れられたまま現代に生きている言葉のひとつとなっている。
(KAGAMI & Co.)
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