いかんとは、進まない、できない、よくない、いけないなどの意を表し、「うまくいかん」「そんなことしちゃいかん」などと用いる。「行く」に打ち消しの「ぬ」が付いた「いかぬ」が転じた語。つまり「行かない」ということ。できない、よくない、いけないと言いたいなら、ほんとうは「行く」の可能動詞「行ける」に打ち消しの「ぬ」がついて変化した「いけん」が正しいのではないかと思われ、実際、方言では「いけん」という言い方の方が多い。「いかん」はやや古風で、厳めしい感じがするが、「いけん」より多用されている。田舎者が「いけん」を盛んに使うので、オシャレなシティボーイとしては（「いかん」はあまり女性は使わない）「いかん」で差をつけたかったのかもしれないが、それより「いかん」の発音が「遺憾」や「如何」と同じである点に着目したい。「遺憾」は残念であるという意味だが、「某国のロケット発射を遺憾に思います」という言い方には、「そんなことしちゃいかん」の「いかん」のようにお怒りの意味をこめている（こめているつもりの）場合がある。また「如何」はどのように、という意味だが、「某国の暴走は如何ともしがたい」には「こまったもんだ」というやはりお怒りの意味合いが込められ、これらの言葉の影響で「いかん」は「いけん」より多様されているのではないかと筆者は考える。（VP KAGAMI）