いとも簡単にとは、とても容易に、たいへん楽にという意味。「いとも簡単に問題を解いた」などと使い、優秀な学生が解答用紙をさっさと埋めて自慢げな表情をしている姿が思い浮かぶ（「自慢げな表情」は蛇足だが、「いとも簡単に」にはそんなニュアンスがある）。

「いとも」は非常に、とてもという意味で、「いともおごそかな儀式だった」「いとも壮大な風景」などとも使うが、現在では「いとも簡単に」という使い方が圧倒的に多い。なぜ「いとも」が主に「簡単に」に付くようになったのかは、いまのところ研究不足でわからない。

「いとも」は、非常に、たいそうという意味の副詞「いと」に、明示や強調の助詞「も」を加えた形。「いと」は、この語の単独では現在ではまったく使われておらず、「いと涼し」「いとをかし」などと言われても、なにが涼しいんだか、「おかし」なんだかさっぱりわからない。「いとも」も使い道は少ないが、それでも「簡単に」を従えて、しぶとく現代に生き残っている。

​（VP KAGAMI）