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関連用語
おかんむり、御冠
おかんむり
おかんむりとは、機嫌が悪いこと、怒っていること。特に、他者(主に目上の他者)の機嫌がよくないときに「社長、おかんむりの様子だね」などと使う。「かんむり」は「冠」のことで、高位の人物がその権威を示すために頭に載せるかぶりもの。その「冠」に、敬意を表す「御」を付けたのが「御冠(おかんむり)」だが、「冠」というものの需要もないし、「冠」が機嫌の悪いことになぜつながるのかがわかりにくいせいもあって、あまり使われている言葉とはいえない。
「冠」がなぜ、機嫌が悪いことにつながるのかというと、『史記』の藺相如(りんしょうじょ)伝に見える「怒髮上衝冠(怒髪上りて冠を衝く)」が元ネタとなっている。趙の国の重臣・藺相如が、秦の昭王の不実な態度に腹を立てて見せたすさまじい怒りの形相をたとえた言葉で、日本では「怒髪天を衝く」として知られるが、古くは「怒髮衝冠(怒髪冠を衝く)」という四字熟語として、和漢問わず引用されている。「怒髮上衝冠」はつまり、怒りのために髪が逆立って冠を衝き上げるという意味で、マンガみたいな描写ではあるが、ここで重要なのは「冠」。冠を被っているのは身分の高い人物であり、「怒髮衝冠」は要するにお偉いさんが怒りちらかしてますと言いたいのである。日本で「怒髪天を衝く」という言い方がいつごろ採用されるようになったのかは知らないが(ごく最近ではないかと思われる)、激しい怒りの描写としてはこちらのほうが優れているものの、必ずしも身分の高い人の怒りを表さない。また、「社長」が御機嫌ななめだという程度の姿を表すのに、天を衝くはおおげさだし、冠を衝くでもまだ言い過ぎの感があるので、「おかんむり」とまとめられたのだと考えられる。
(VP KAGAMI)
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