関連用語
おどろおどろしい
おどろおどろしい
おどろおどろしいとは、恐ろしい、気味が悪いという意味。「おどろおどろしい映画」は、怪奇映画、オカルト映画などを指すが、泥状の状態を表す「どろどろ」とシンクロするせいか、中でも顔や体が溶け出してしまうスプラッタ系の映画のイメージが強い。
「おどろおどろしい」の古形「おどろおどろし」は、本来はものごとが大げさであったり派手だったりしてびっくりするようだという意味で使われていた。つまり「驚く」と同源。「おどろ」は雷や嵐の音を言い表すともいうが、雷の音を「どろどろ」とか「ごろごろ」で言い表すようになったのは中世末期から近世にかけてであり、古くは「轟く(とどろく)」の「とどろ」で表されていて、「おどろ」の方は大きな音という使い方より、おおげさである、派手であるという使い方のほうがやや古くから文献に見られるので、必ずしも音の表現とも言いきれない。「驚く」の「お」は、びっくりして思わず発する声のようにも感じられるので、「あっと驚く為五郎」ではないが、「おっ」という感動詞と、擬音語からきた「とどろく」あたりが組み合わさったのが「驚く」だと言えるかもしれない。また「棘」と書いて「おどろ」と読む語があり、これはイバラなどの草木が乱れ茂っているさまを言い、後に長い髪の毛がふりみだれるさまを表すようになったが、この「棘(おどろ)」と「おどろおどろし」の「おどろ」はアクセントが違い、別語源だとされている。幽霊の髪の毛を「おどろの髪」などと言い表すのは江戸時代からで、おそらく幽霊が登場する歌舞伎の場面で鳴らされる「どろどろ」という太鼓の音の影響があるのだろうが、「おどろおどろし」も「大げさである」といった使い方と近い時期からすでに「気味が悪い」「恐ろしい」という意味で使われていたので、発音は違っても「棘(おどろ)」との影響関係は考えられなくもない。さらにまた「恐れる」「こわがる」という意味で「怖づ(おず:怖じるの意)」という語があり、タ行の活用で「驚く」と親近性があり、恐ろしいという意味の「おどろ」はこちらから来ているとも考えられる。
そんなわけで「おどろおどろしい」は、「驚く」から来たのか、音感から来たのか、「棘」に影響されているのか、「怖づ」から来ているのか、さっぱりわからないというのが結論である。
(VP KAGAMI)
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