top of page

ぐずぐず

ぐずぐず

 ぐずぐずとは、鼻水が出て鼻の通りが悪くなるさま、態度がはっきりしないさま、行動がのろいさま、形が崩れるさま、ものごとに締まりがなくなるさまをいう語。「鼻がぐずぐず」しだしたら、鼻詰まりに効くという「ベ」のつく風邪薬が必要である。子どもに対して「ぐずぐずしていないで、さっさと歩きなさい」と言う場合、買ってほしいものがあるのにはっきり言い出せず、泣きべそをかいている様子が想像される(親がいらいらしている様子も目に浮かぶ)。「豆腐がぐずぐずになった」は、煮込み過ぎて豆腐の形が崩れる様子、「会議はぐずぐずになって終わった」は、意見が錯綜して会議の焦点が定まらず結論が出ないまま終わった様子がイメージされる。

「ぐずぐず」の語源については、冒頭の鼻詰まりの症状を表す擬音語から、というのが妥当と考える。この説は、小学館の『日本語オノマトペ辞典』に載っているものだが、声を立てずに笑う様子を「くすくす」、軽いくしゃみを「くすん」などというように、鼻腔が乾いている状態で鼻を鳴らす音感を「くす」で表すが、鼻水が出て鼻腔を通る息が邪魔され乾いた音が出なくなると、濁音がついて「ぐず」と変化する。そこから、子どもが泣きべそをかきながらぶつぶつ文句を言っている様子が「ぐずる」であり、そのような態度のはっきりしないさま、行動がのろいさまが「ぐず(愚図)」「ぐずぐず」で表わされる。さらに、「豆腐がぐずぐずに」の「ぐずぐず」は、豆腐が水分を吸いすぎて型崩れするさまを表し、空模様が雨がち(水分たっぷり)になる様子を「ぐずつく」という。お固い(真剣な)会議がまとまらずに終わる様子は豆腐が崩れる姿に見立てられる。

 このように、鼻腔に鼻水が湧いている状態から、さまざまな連想がうまれたのが「ぐず」であり「ぐずぐず」であるというわけだ。

​(VP KAGAMI)

bottom of page