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さめざめ

さめざめ

 さめざめは、涙を流して泣くさまを表す擬態語。比較的強い悲しみの表現ではあるが、大声で叫ぶような悲しみではなく、深く静かな悲しみで涙がとめどなく流れるさまが表現され、「肉親の不幸にさめざめと泣いた」などと用いる。

「さめざめ」は「さめ」を重ねた言葉だが、「さめ」はおそらく小雨(こさめ)、春雨(はるさめ)、霧雨(きりさめ)の「さめ」ではないかと考えられる。「あめ」を「さめ」と言うのは、「さあめ」の略と考えられるが、「さ」は、「さ迷う」「さ霧」「小百合」のように語調を整えるために使うほとんど意味のない接頭詞で、「雨」を「さ雨」と表現していたこともあるようだ。「さ」にはほとんど意味がないとはいえ、上記の使い方を見ると、ちょっとだけとか、少しの、小さなという意味合いが感じられ、「小雨」「春雨」「霧雨」の「さめ」もしとしとと降る雨に使われ(「村雨(むらさめ:にわか雨のこと)」のような例外もあるが)、「大雨」は「おおさめ」とは言わない。

 というわけで「さめざめ」も、メダルを逃して大泣きした好感のもてる柔道の女子選手のような泣き方(つまり号泣)には使用されない。

​(VP KAGAMI)

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