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しっ、しっしっ

しっ、しっしっ

 しっ、または、しっしっとは、人や動物を追い払うときに使う言葉。しかしこの語は多くの場合、日本語には珍しく子音のみの発音からなり、子音と母音からなる「し(si)」という文字で表すのは適切ではなく、英語の“shh”の音が正しい。英語の“shh”は、日本語のしっ、しーっと同じく「静かにしろ」という意味で発せられるが、あたりが静まりかえっている中で、自分も声をひそめ、相手にも声を発しないようにうながすのが「しーっ」とか“shh”であるといえる。しかし、盛んに吠えている犬に対して「しっ」とか「しっしっ」などと言っても、すごすごと引き下がる聞き分けのよい犬がいるとは思えない。騒いでいる相手や犬を鎮めるためには、英語でも“Be quiet(黙れ)”とか“Easy(落ち着け)”などと言うそうだが、日本語でも「うるさい!」とか「黙れ!」などと、騒いでいる相手に自分の声がしっかり届くように大声で叫ぶ。ただ、しゃべり続ける相手を制するときに「しっ!」と、いわば、「カーッツ!」と叫ぶ禅師か大沢親分のように使うことがあり、その延長線上にあるのが犬を追い払う「しっ」であるのかもしれない。また、犬は言葉がわからないので「うるさい!」とか「静かにしろ」などと言うだけ無駄であり、かといって犬と同じようにガオーッと吠えて脅せば犬に反撃されて食いつかれるおそれがあるので、当方はきみに噛みつくつもりはないのだという気持ちをこめて「しっ」を使っているとも考えられる(違うだろうが)。それでも犬はなんだかわからないかもしれないので「しっしっ」と二度重ねて、退散してほしいという気持ちをちゃんと伝えようとしているに違いない(もっと違うだろうが)。

(VP KAGAMI)

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