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そもそも
そもそも
そもそもとは、主に文章で意見や主張を展開する際、文頭に置く語。夏目漱石も『吾輩は猫である』で「そもそも恋は宇宙的の活力である」「そもそも衣装の歴史を繙(ひもと)けば」などとさかんに使っているように、「これから根本的でどでかい話をぶちかますので、よろしく」とでも言いたげな接頭詞となっている。
「そもそも」は漢文の「抑」の訓読に使われた語だが、現代の中国語の辞書では、「抑」は文頭に置き軽く話を変えるための語(例えば「さて」というような語と同じ)としており、中には「たいして意味はない」とまで言っている辞書さえある。訓読の「そもそも」は「そも」を重ねた語で、「そ」は「それ(其れ)」の略なので、「そも」は「それも」という意味。ということで、「抑」が「さて」などと同意であったと考えると、「そもそも」は「それもそうだが」「それはそうと」などの意味合いに近く、漢語の意味をほぼそのまま引き継いでいる。そうすると、「そもそも」は「恋は宇宙的の」とか「衣装の歴史を繙けば」というような大げさな話を切り出すには荷が重い語だといわざるをえない。しかし現在「そもそも」は、「そもそもの話」「そもそも論」などと使われるように、「根本的」とか「原理的」などと相性のいい言葉のように感じられる。私見では、文豪だか知識人だかが、よた話をたらたら書き連ねた末に、「さて」とあらたまってマジな主張を展開し始めるときに使っていたため、「なんだかものすごい話が始まりそうですね」と読者に受け取られて、その後の「そもそも」の扱いにつながったのではないかと考える。
(VP KAGAMI)
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