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この辞典の使い方(ホーム)「た」で始まる言葉>だいなしの意味

カテゴリー:慣用語

だいなし、台無し

だいなし

 だいなしとは、ものごとが無価値になること、役に立たなくなること。「雨に濡れてブランドの腕時計がだいなしだ」(雨に濡れた程度でだめになるなんてホンモノかどうか怪しい)、「順調に進んでいた計画が社長の失言でだいなしになった」(クビにしたほうがいいね)などと使う。同義語に「ぶち壊し」があり、類似の使い方をされるが、「雨に濡れてブランドの時計がぶち壊しだ」とは言わない。「ぶち壊し」は「打ち壊し」から来ているように、破壊行為についていわれ、時計の故障程度ではふさわしくないともいえる。だからといって、「ゴジラに踏み潰されてブランドの腕時計がぶち壊しだ」とも言わない。これは、「だいなし」は価値がなくなってしまったとこと、役に立たなくなってしまったことに重点が置かれ、「ぶち壊し」はものごとが破壊されて手がつけられなくなった状態にフォーカスしているからではないかと考える。ゴジラに潰された腕時計は確かにめちゃくちゃに壊れているかもしれないが、ブランドものの価値が失われたというほうが持ち主にとっては重要なのである(それより、その腕時計をしていたきみも踏み潰されたんじゃないかね)。

「だいなし」は、仏像を据える台座がない状態のことだとする説がある。仏像はそれにふさわしい台座に乗っていてこそご利益があるので、「台無し」の仏像には価値がないというわけ。台座なしの仏像を『なんでも鑑定団』に出せば、少しはディスカウントされるかもしれないが(レトロなおもちゃの「箱無し」みたいに)、現在人々が口にしている「だいなし」ほど、だいなしではないような気もする。とはいえ、他に有力な説もないので「台無し」説に異を唱えるつもりはない。だいなしの語源については他に「無台(むたい)」という語の訓読みではないかとする説もあるが、「むたい」は、無体、無代、無台などと書かれ、ないがしろにすること、つまり無視すること、無理なこと、無法なこと、まとまっていないことという意味で、「だいなし」の意味とはやや遠いのでスルーしておく。

​(VP KAGAMI)

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