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関連用語
どろどろ[音]
どろどろ
どろどろとは、雷鳴や多数の車馬の往来、大太鼓の連打などの連続するやかましい音を表した擬音語。江戸時代最初期に発行された『日葡辞書』には、doro doroto(ドロドロト)は「音がひびくさま、または、ひどくやかましい音を立てるさま」だとされている。この辞書の注目点はその次の項目で、doromequ(ドロメク)つまり「ドロドロみたいな音がする」には、「大勢の人が板張りの縁側を通る時などに、やかましい音を立てる」と、ピンポイントすぎる具体的な説明が付されていて、笑わせてくれる。
江戸時代以降、歌舞伎の下座音楽で大太鼓を長ばちで連打する音を「どろどろ」と表したが、この音は横笛の鋭い音とともに幽霊の登場場面に使われ、「ヒュードロドロ」などと言い表されたため、その後も幽霊様御用達のBGMとして知られるようになった。騒音を表した「どろどろ」は中世以降に登場する比較的新しい表現だが、古くから使われていた類似の語に「おどろおどろし」があり、それが変化した語だと考えられる。
粘液状の物体、要するに泥状のものを言い表す「どろどろ」と同音だが、両者は語源が違う。しかし、オカルト映画など顔がどろどろにとけちゃったりする近年のえげつない映像描写のせいか、幽霊登場の「どろどろ」も、泥の「どろどろ」も、「驚く」と同源の「おどろおどろし」も、気持ち悪い化け物映画などで共存する用語となってしまっている。
(VP KAGAMI)