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ふとした

ふとした

 ふとしたとは、偶然の、ちょっとした、思いがけない、という意味の連体語。「ふとした出逢いから親密になり結婚しました」とか「ふとした病いでお亡くなりになりました」などと、きっかけは小さな出来事でも、結果が重大である場合に用いることが多い。しかし、「ふとしたはずみで人をあやめてしまったのです」などと言っているヤツは、結果についても「ふとした」ものくらいに考えている傾向が強い。 「ふとした」の「ふと」は、急に、即座に、偶然になどの意味だが、私見ではこれはロウソクなどを消すときに、息を吹きかける「ふっ」というときの口の形や音感から来ている。日本語は、「輪」「粒(つぶ)」「しばる」のようにものの形や行為の様子を口の形で模したり、「たんたん」や「ずるずる」から「たたく」「ずらす」に変化したように音感、つまりオノマトペから来ている語など、直観的な語源にもとづくものが多いと考えるが、これもそのひとつ。「ふいに」「吹く」なども語源は同じではないだろうか。とはいったようなものの、書き文字のない時代の言葉であるから、なんのエビデンスもないのは残念至極である。

(VP KAGAMI)

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