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ほの字

ほのじ

 ほの字とは、惚れている(異性に夢中になっている)状態という意味の隠語で、「ほ(惚)れている」の頭音「ほ」を取って仲間内だけで理解できるよう暗号化した(といったって、誰にでもわかってしまうが)古風な言い方で、今で言う「ケーワイ」みたいなもの。時代劇中などで「ヤツはあのコにほの字だね」などと用いられる。「ほの字」のあのコに「この字(コクる)」したものの、「ふの字(振られて)」で、「あの字(あきらめ)」できずに「すの字(ストーカー)」して「たの字(逮捕)」されたというような使い方をされたのであろう(注:「ほの字」以外は一般的な使い方ではない)。

 言葉の頭文字を取って「●の字」と隠語化するのは、女房詞(にょうぼことば:室町時代以降、宮中に使える女性が使い始めた隠語)の常套手段で、「しゃもじ(しゃくしの略)」などは現代に残っているが、「ほの字」が女房詞だったかはわからない。宮廷に使える女子が、ほれたのはれたのといった話題で盛り上がっていたとも思えないが、『源氏物語』などはほれたのはれたのといった話ばかりなので、「ほの字」が女房詞だったとしても不思議ではない。

​(VP KAGAMI)

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