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め[接尾語]

 接尾語の「め」は、「こいつめ」「悪党め」などと、他者を非難したり、卑しめたりする場合に使う。また、「私めにご下命ください(私に命令してください、つまりその仕事を任せてください)」のように、自分を卑下する場合にも用いるが、あまりに卑下の仕方が極端に聞こえるので、いまではあまり使われないし、そんな言葉づかいをしているような人にはたぶん大事な仕事は「下命」されない。

「め」には「奴」という漢字を当てる場合が多いが、ふつう「奴」を「め」と読むことはない。岩波書店の『古語辞典』は、雌、牝、女、妻、つまりオスに対するメスの「め」が、接尾語として使われるようになったのではないかとしている。古くから女性は男性に対して弱い者としての扱いを受けてきたが、女性を表す「め」にも同様のニュアンスが含まれて、接尾語として使われる場合も、強者が弱者を見る視線が感じられる。「め」が必ずしも非難や蔑視ばかりでなく、「可愛いやつめ」のように使われるのはそのためかと思われる。

(VP KAGAMI)

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