top of page

やれ[感動詞] 

やれ

 やれは、事物を並べ上げる際に「やれ疲れただの、やれ頭が痛いだの言ってサボってばかりいる」「やれゴルフだ、やれ釣りだと連れ回される」のように語頭に付けて用いる。並列という機能から、「うれしいやら、悲しいやら」のように使う並立助詞の「やら」が変化した語と考えられるが、通常の文法で助詞が語頭に付くことはないので、この「やれ」は、「やれ、嬉しや」のように喜んだり、民謡のはやしことばなどと同類の感動詞に分類される。感動詞の要素が加えられるため、「やれ」は、並べ上げた事例が頻繁に起こるのでうざいという気分を濃厚に表していて、冒頭の「やれ疲れただの、やれ頭が痛いだの」には、サボってばかりいる従業員へのお怒りの気持ちが、「やれゴルフだ、やれ釣りだ」には、得意先の社長へのうんざりした気持ちが含まれている。つまり「やれやれ」という気分である。

 並列の機能を持つ「やれ」のもととなっている「やら」は、「……であろうか」という意味の「にやあらむ(あらん)」が、「やらむ(やらん)」→「やら」→「やれ」と変化した語とされていて、「隠岐の島とやらんところ」のように不確実、不定の意を表し、並立助詞として使われる場合も「隠岐やら壱岐やらいうところ」のように、「隠岐だろうか壱岐だろうか」といった不確実な対象を並列する際に用いた。その不確実な並列が「うれしいやら悲しいやら」のように、うれしいと悲しいという矛盾した感情が入り交じる表現へとつながっているものと思われる。「やれ疲れただの、やれ頭が痛いだの言ってサボってばかりいる」「やれゴルフだ、やれ釣りだと連れ回される」という例文も、サボっている人物が今日はどういう言い訳をするのやら…、得意先の社長が今日はどこへ連れ回す気なのか…、やれやれ…という気分が濃厚に漂っている。

関連用語

bottom of page