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アイドル

あいどる

 アイドルとは、偶像という意味で、主に神仏を描いた図像や形づくった彫像のことをいうが、一般的にはあこがれや崇拝の対象となる人物の例えとして用いられる。日本では主に、崇拝者(ファン)を従えた若い芸能人のことをいい、歌手、テレビタレント、モデルなどを職業としている場合が多い。

 日本のアイドルの最大の特徴はその友だち(「片思いの友だち」でもいい)感覚の親しみやすさにある。年下の者にとっては「あこがれの先輩」であり、年上の者には「かわいい後輩」でもある。友だちの最も重要な特徴は「いつでも会える」ということだ。そのためアイドルはマスメディアなどへの露出を増やすことでファンの心をつかんでいる。「idol(アイドル)」は本来「神仏の仮の姿」という意味だから、日本では「友だちの仮の姿」とでもいうべきものである。日本のアイドルにとって、歌やダンスは「特技」レベルで十分であり(中には「特技」にも達していないような人もいる)、「歌が特技の友だち」としてファンは他者に自慢できる。少し前には「秋葉原に行けば会える」という、宝塚歌劇団のようなシステムを導入して成功したプロジェクトもある。

 歌やダンスだけではマスメディアへの出場枠は限られるので、アイドルは 俳優業や司会業にも積極的に参入する。歌が苦手なアイドルも、俳優や司会の才能があれば(司会などはうまくいけば毎日テレビに出られる)、その方面でファンと会うことができる。そして、ファンはアイドルを応援し、元気づけることでその才能を伸ばす。「日本のアイドルはファンが育てる」とういのはそういう意味だ。特に年上のファンは「かわいい後輩」として、「自分が育てた」という自負につながる、

 アイドルが年をとってメディアへの露出も減ると、ファンも減るが、アイドルは「友だち」であるから、メディアや舞台などへの露出を続ける限り、絶縁する必要はなく、一定のコアなファンはいつまでも残る。海外でも還暦を超えても活躍しつづけているアーティストが多く、ファンというのはそういうものかもしれないが、日本では特にその傾向が強い。普段は疎遠な外タレでも、ベンチャーズのように日本に敬意を払い、しばしば来日してくれれば、半世紀も観客を集め続けることになる。

​(VP KAGAMI)

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