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スープ

すーぷ

 スープとは、西洋料理における汁物。英語soupによる外来語。日本では、日本食の汁、例えば味噌汁やそばつゆなどをスープとよぶことはないが、海外の料理の汁についてはスープと呼ぶ場合が多い。これには中国料理も含まれ、ラーメンの汁などがそうだし、白湯(パイタン)はそれだけで白いスープという意味だが、わざわざ「白湯スープ」と念押ししている。西洋料理のコースではスープは最初に出てくるが、このあたりが日本の味噌汁と違うところで、ご飯やおかずを食べながら味噌汁(スープ)を飲むというぜいたくから隔絶されている。つまり、小学生がいましめられる「ばっかり食べ」をさせられるわけだ。

 英語ではto have soup、または、to eat soupと言うが、to drink soupとは言わないように、スープは食べ物という感覚があるようだ。日本には『カレーは飲み物』というカレー屋があるが、スープのチェーン店などは「スープは食べ物」と言いたいところかもしれない。西洋のスープは本来、古くなった野菜などを煮込んだ料理で、シチューや日本の雑炊などと同類の食べ物だったらしい。確かにイモがごろごろはいったシチューは「飲む」とは言い難く、食べ物というべきだろう、日本でも味噌汁は「飲む」のかもしれないが(吸い物は「吸う」だから、味噌汁も「吸う」か?)、具がたくさん入ったとん汁となると、「飲む」というには躊躇するし、ラーメンはぜったい「飲む」とはいわないだろう。

 またスープは、保存して固くなったパンを漬け、やわらかくして食べるという重要な役割も果たしていたようで、soupの語源は、ゲルマン祖語で「浸す」という意味の語に求められるらしい。フランス語では、ほんとうかどうか知らないが、「スープを切る」という言い方があり、これは固くなったパンを薄く切ることだそうで、スープとパンが混用されていたこともあるようだ。いまフランス人はフランスパンをカフェオレに浸して食っているが、その名残かもしれず、もしかしたらフランスパンは、保存して固くなってしまったパンを想定して最初から固く作られているのかもしれない(んなわけ、ないか)。というわけでフランス人のみなさま、フランスパンは固くなったパンみたいにスープにでも漬けて食わなければ食えたもんじゃないパンではないので、いきなりカフェオレに浸して食うのはどうかと思いますことよ。

​(VP KAGAMI)

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