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糸瓜、ヘチマ

へちま

 糸瓜(ヘチマ)は、ウリ科のつる性一年草。熱帯アジア原産で、日本には江戸時代に伝わり、広く栽培された。食用として煮物などに使われるというが、筆者は残念ながら食べたことがない。いまでも沖縄あたりでは普通に食されているそうだが、名物料理として喧伝されている様子もないから、たいしてうまいものではないのだろう。…と、ばかにしていたが、「ヘチマの料理」で検索したところ、『クックパッド』に500以上ものレシピが掲載されていた(失礼しました)。また、少し前までヘチマは、入浴用のタワシ(垢すり)の素材として知られていた。ヘチマの実を水に付けておくと果肉が腐って、クッション性のある網状の繊維が残る。これを入浴のタワシや靴底などに使っていたらしい。さらに栽培中のヘチマは、切断した茎から化粧水が採れることでも知られ、現在でも美しいお肌を作る化粧品として販売されている。しかし、大手化粧品会社に類似の商品が見当たらないことからも、その効果のほどは疑わしい(個人の邪推です。大手から出てればいいってものでもないし)。

「へちま」は、「糸瓜」という漢字をそのまま訓読みにした「いとうり」とも呼ばれていたが、「い」を略して「とうり」と言っていたこともあるらしい。この「と」は、いろは順では「へ」と「ち」の間にあるので、「へ・ち・間」だというマユツバものの説がある。しかし、ほかにこれといったもっともらしい説もないので、恐ろしいことにこれがほんとうの語源かもしれない。しかし、「いとうり」を「とうり」と言っていた痕跡がほとんどない(方言としてわずかに使用が知られる)ことなど、やはりマユツバはマユツバとして置いておいたほうがいいかもしれない。

​(VP KAGAMI)

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