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一枚噛む

いちまいかむ

 一枚嚙むとは、一員として加わるという意味。リストラ寸前の人物が「あの会社の設立にはオレも一枚噛んでいたんだ」と、昔の手柄を自慢するという悲しい場面で使ったりする。

 この「嚙まれる一枚」が金メダルでないことは言うまでもないが、どうやら歌舞伎の看板のことらしい。江戸時代、歌舞伎小屋の外に張り出された看板には、主な出演者が一人一枚描かれていた。「一枚嚙む」ことを「一枚加わる」とも言うが、看板が一枚加わる、つまり役者としてその芝居に出演する、参加するというのが「一枚加わる」または「一枚嚙む」ということなのだ。そして「一枚」が看板のことであるなら、「一枚加わる」のほうが本来の言い方であると考えられる。

 では「嚙む」はどういうことか。「噛む」は上下の歯でものをはさむという意味だが、機械類の歯車のように、ある仕事でそれを動かす役割の一部を担っていることを表す。類似の「一口乗る」は、「一口」が株や保険の一単位を表すことから、儲け話に出資するという意味合いが強いが、「一枚噛む」は、歯車として一定の役割を果たすという意味で使われる。類似の「一口乗る」は、「一口」が株や保険の一単位を表すことから、儲け話に出資するという意味合いが強いが、「一枚噛む」は、歯車として一定の役割を果たすという意味で使われる。

 わかりやすい話をすれば、悪い仲間が銀行強盗の計画を立てたとき、覆面をして現場に立つのが「一枚噛む」、金だけ出して上がりの一部を受け取るのが「一口乗る」ということになるだろうか(注:不適切な例示をお詫び申し上げます)

​(VP KAGAMI)

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