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並並ならぬ、並々ならぬ

なみなみならぬ

 並並ならぬ(並々ならぬ)とは、普通ではない、大変な、という意味。スポンサーへの挨拶で、「並々ならぬごひいきお引き立てをたまわり」などとべんちゃらを言うときに使う。「並(なみ)」は普通であること、「並並(並々)」は、「並」を重ねて強調した言い方。それを否定したのが「並並ならぬ」で、他に「並大抵(なみたいてい)ではない」「ひとかたならぬ」などの言い方がある。「並ではない」というだけでも「普通ではない」という意味だが、「普通ではない」というだけでは、どの程度普通ではないかがわからない。そこで「並」を重ねて「ものすごく普通ではない」つまり「ものすごく大変」だと言いたいのだと思われるが、よく考えてみると、「並」を重ねても「ものすごく普通」になるだけで、それを否定しても「ものすごく大変」にはならない。そのせいかどうかわからないが、世の辞書には「並並ならず」「並並ならぬ」という項目を載せていないものが多い。「並並(なみなみ)」という言葉は『万葉集』の昔から、同じ程度であること、普通であること、平凡であることという意味で使用され、その否定である「なみなみならず」「なみなみにはあらず」という表現も見られる。しかし、あくまで「なみなみ」とそれを否定したふたつの語からなる文であり、慣用語や慣用句としては見なされていないということだろう(「普通ではない」という言葉が載っていないように)。「並並ならぬごひいきを…」などという使い方も最近の例なのかもしれない。

​(VP KAGAMI)

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