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人を食った

ひとをくった

 人を食ったは、人をばかにしたような、人を人とも思わない、という意味の連体修飾句で、「人を食った話」「人を食った態度」などと使う。「食った」は、「人を食う」の「食う」の連用形に、ある状態が過去から継続していることを表す助動詞「た」の連体形を加えて連体修飾語としたもの。

「人を食った」は、辞書には「人を食う」という見出しで載っているが、あまりにレクター博士に寄りすぎているので、この形で使われることはあまりない。「人を食った」も、そのままではエイリアンの自白みたいなので、「話」「態度」のように体言を付けてようやく例えだということがわかる。もっとも「人を食った話」でも、ラフカディオ・ハーンの怪談のタイトルかと勘違いされるので(ハーンにはそのようなタイトルの小説はない。ただし『食人鬼』という小説はある)、取り扱い要注意の慣用句ではある。

「食う」は食べるという意味だが、もとは、噛みつくとかくいつくという意味の言葉なので、そこから「チャンピオンを食う」のように強い相手に勝つ、「いっぱい食う」のようにだまされる(食わされる)などの意で使われ、「人を食う」も攻撃して相手を倒すといったニュアンスを含んだ言葉となっている。

​(VP KAGAMI)

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