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関連用語
侮辱
ぶじょく
侮辱とは、相手を見下してはずかしめを与えること。一番分かりやすいのが、歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』における高師直(こうのもろなお)、史実では吉良上野介(きらこうずけのすけ)の、塩冶判官(えんやはんがん)、史実では浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)に対する言動や態度。
芝居では、観客の百人が百人、塩冶判官に同情するように、日本人は侮辱されることに敏感で、特にサムライは侮辱を受けて相手に斬りかかったり、切腹したりする。いまでも芝居を見ればみなが塩冶判官に同情するように(藩の存続のことなど考えずになぜそんな暴挙に出たのかと、冷たくつきはなす人もいるにはいるが)、実はこのサムライスピリットは現代の日本人にも受け継がれている。
日本人はおじぎをすることによって相手に敬意を示す。これに対して相手もおじぎを返して敬意を表す。しかしおじぎという挨拶は、世界的には、相手より自分は下位の身分であり、無防備に頭を下げることで、相手になにをされてもかまわないという服従の姿勢を示している。これはつまり「下手に出る」という態度であり、日本人ならお互い「下手に出」てよい関係を築くのだが、海外の人々の中には(まあ、日本人でも一部には)おじぎをされると自分が上位にあるのだと勘違いして、おじぎをした者を見下すバカがときどきいる。つまりこれが「下手に出れば付け上がる」という態度である。
この「付け上がる」という態度から発せられる行為のひとつが「侮辱」であり、それに対してサムライスピリットを受け継ぐ日本人は「下手に出れば付け上がりやがって」と怒り心頭に発することになる。
(VP KAGAMI)