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叩き上げ、たたき上げ

たたきあげ

 叩き上げ、たたき上げとは、下積みを経て上位に就くこと。アルバイトや見習いから初めてトップに登り詰めたような人物を表すのに適しているが、「叩く」という言葉の強さからか、コンビニチェーンのCEOなどを言うにはいまいちものたりなさを感じ、警察とか商社のようなそこそこ荒っぽいイメージの組織(いまの商社はどうか知らないが)にふさわしい言葉のような気がする。

「叩き上げ」の「叩く」は、打つとかなぐるという意味なので、なんとなく暴力的な響きがあるが、この「叩く」は、日本刀などを作るときに熱した鉄を何度も叩く行為を表していると考えられる。鉄を鍛煉して製品に仕上げることを「鍛(きた)え上げる」と言い、修業を積み重ねて一人前にするという意味でも使われ、これは「叩き上げる」と同意である。しかし「鍛え上げる」の「鍛える」には、何度も叩くというイメージが重なるせいか、江戸時代これを弱い者をいじめるという意味で使っていた例がみられる。「叩き上げる」は、当初は実際にものを叩いて上に上げる、あるいは、太鼓などを叩いて大きな音を出す(上げる)という意味で使用されていたが、近年「鍛え上げる」と同様の意味で使われるようになった。そこにはやはり「叩く」のイメージが色濃く漂い、師匠や上司のパワハラを受けながら修業して出世するという意味合いで使用されるのは止むを得ず、コンビニのCEOを表すには違和感をまぬかれないだろう(コンビニの社員が「叩かれ」ていないとは限らないが)。

​(VP KAGAMI)

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