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奇をてらう、奇を衒う

きをてらう

 奇を衒う、奇をてらうとは、変わったことをして人目をひくという意味。つまり、芸人に必須の行為(ただし、売れるかどうかはその芸の質による)。歌舞伎の世界では、宙乗り、早変わり、本物の水を使う演出などがこれにあたり、「外連(けれん)」と呼ばれる。このような演技や演出は正統を尊ぶ人々からは批判されるが、観客からは大ウケである(だからやってしまうわけだが)。

「奇」はめずらしいこと、不思議なことを意味するが、「奇」の字の口を除いた部分は、儀式に使う曲がった刀を表しているそうで(もちろん古代中国の話)、そこからまがっていること、かたよっていることを意味し、さらに変わっていること、めずらしいことの意味に広がったらしい。「衒う(てらう)」は自己宣伝する、見せびらかすという意味。光で照らすという意味の「照らう」から来ているようで、要するに自分自身にスポットライトを当てるというイメージであり、変わったことをして自分を目立たせようとする努力は芸人なら誰でもやっていることで、売れない芸人でも「奇をてらう」資格は十分にあるというはなしだ。

​(VP KAGAMI)

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