恵む

めぐむ

　恵むとは、神仏が人間に恩恵を与える、不幸な人に同情して金品などを与えるという意味。その昔、路上に座って通行人の喜捨を乞うホームレスは、「あわれな●●にお恵みを」というのが決まり文句だった。このことから知れるように「恵む」は、上位の者が下位の者に対してそのあふれんばかりの慈善心の発露として、どうだとばかりに金品を与え、あわれな下位の人々から多大な賞賛を得る行為（言い過ぎです）を言い、西欧の慈善家が大好きな所業である。日本人はこのような行為をあまり好まず、西欧人のような態度であわれな人に恵んでいる人を見ると、「神様にでもなったつもりか」というような批判を受ける。基本的に日本人は、人とのつきあいにおいて相手より自分を下に置くという、世界でも珍しい変態的なマナーを持っているので、自慢たれやええかっこしいな態度を嫌う。日本の慈善家は、亡くなってからその陰徳が世間に知れわたったりして、そういう人はほんとうに「仏様」になったのだといえる。

​（VP KAGAMI）