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楽しい、たのしい

たのしい

 楽しいとは、精神的に満ち足りて心地よいという意味。古代には、友人と青菜を積むのが楽しいとか、正月は楽しく過ごそう、のように、現代と同じ精神的な充足感を述べた歌が残されているが、平安中期ごろからは物質的な従属感を主に言うようになり、金持ちで楽しいあの人はドケチで誰にも金を貸さない(金持ちでしかもご陽気なやつだ、と言っているわけではない)、田んぼを買ったのでうちも楽しくなった(金持ちになったと言っているだけだが、家庭内がご陽気になったのは確かだろう)、のような使い方をしている。そういうわけで、平安時代のインテリ女子にとってはお下品な言葉と見なされていたようで、有名な女性文学にはほぼまったく使われていない。

 古語の「たのし」には、さまざまな語源説が出されているが、なるほどと納得できる説はなさそうだ。

​(VP KAGAMI)

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