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滅相もない

めっそうもない

 滅相もないとは、とんでもない、ありえないという意味。「あなたを差し置いて社長になるなんて滅相もない(推薦されたら喜んで引き受けますけど)」のように、「とんでもない」と同様の使い方をするが、「あいつはとんでもない男だ」を「あいつは滅相もない男だ」とは言わないように、主に自分の行動について「ぜったいそんなことをするつもりはない」「そんなことはありえない」という意味合いで用いる。

「滅相もない」は「滅相」を否定した言い方のように感じられるが、「滅相」だけでも「そんな滅相な(そんなことありえない)」と使うように、これだけで並外れていること、あるはずがないことという意味がある。「滅相もない」はおそらく「これほど滅相なことはない」の略で、「突拍子もない」(「突拍子」だけでも調子はずれであること、意外なことを意味するが、「突拍子もない」も同じ意味)などと類似した使い方となる。

「滅相(めっそう)」とは、仏教で事物が因縁によって生じては消えていく四段階を表す生(しょう)・住(じゅう)・異(い)・滅(めつ)の四相のうちの最後の段階をいい、人間でいえば死にあたる(輪廻転生だから、そのあとまた「生」にもどるんだと思うが)。いわば究極の段階というわけで、そこから慣用的に「なみはずれていること」「とんでもないこと」という意味で使われるようになった。

​(VP KAGAMI)

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