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片肌脱ぐ

かたはだぬぐ

 片肌脱ぐとは、着物の片袖から腕を抜いて片方の肩をあらわすという意味。着物の場合、腕を抜かなくても肩は出せるが、腕を抜いて、片半身の多くの部分を露出するのが、正式な「片肌脱ぐ」のやり方だといえる(なにが「正式」なんだか)。また、「脱ぐ」と言っているのだから、片方の肩がすでに露出したパリコレのドレスなどもアウトである(なにが「アウト」なんだか)。

「片肌脱」いでいる姿は現代のわれわれにとっては、遠山の金さんくらいしか思い浮かばないが、この形は昔の人が仕事に取りかかる際の気合いを示す格好であり(金さんもこれから悪党を平服させる準備にとりかかっている)、そこから、困っている人の手助けをするという慣用句としてこの言葉が使われる。

 ところで、なぜ仕事に取りかかる際に片肌を脱ぐのかということだが、力仕事をするのに袖などが付いている着物が邪魔だからと考えられる。しかし、もし真面目に力仕事をしようとするなら、両袖を脱いで上半身を露出しなければならない(てか、着物なんか脱いでふんどし一丁になれよ、という話だ)。実際、全力で仕事に取り組むという意味で「諸肌(もろはだ)脱ぐ」という言い方があり、「片肌脱ぐ」は中途半端なのである。

 ということは、「片肌脱ぐ」は多分に「かっこつけ」の要素が強いと言えそうで、「わかった、オレが片肌脱いでやる」なんて大口を叩いているヤツはあまり当てにならないと考えたほうがいい(遠山の金さんの場合は、桜吹雪という強烈な武器があるので、片肌脱いだだけで威力は十分なのである)。(VP KAGAMI)

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