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腑に落ちない

ふにおちない

 腑に落ちないとは、納得できないという意味。「腑に落ちる」の否定形だが、こちらのほうが使用頻度が高く、探偵小説やミステリードラマは「現場の状況がどうも腑に落ちない」という探偵や刑事の思い込みから物語がスタートする。「腑」は内臓のこと。「腑に落ちる」は、内臓のどこに何が落ちるのか、と考え始めると、どうも腑に落ちない言葉だが、余計なことを考えずに聞けば、十分に腑に落ちる言葉である。この場合の「腑」は、「胸」や「腹」のたとえで表されるように、人の心、精神を意味し、「落ちる」は、「落とし所」などという言葉があるように、決着する、あるべきところに落ち着くといった意味。あやふやだったもの(宙ぶらりんだったもの)が、納得できる状態になる(落ちる)のが「腑に落ちる」ということになる。

 先ほど、「腑に落ちる」とは、内臓のどこに何が落ちるのかという疑問を呈したが、どこに落ちるかについては、「胃の腑に落ちる」という別の言い方があるように、あえて言えば「胃」らしい。これはおそらく、納得したという気持ちと、胸につかえていたものが胃に落ちたというスッキリ感を同時に表しているに違いない。

 ところで「腑に落ちない」には、「とんと腑に落ちない」と、前置きが付くことがある。どうやら「腑に落ちる」ときは「とん」と音がするみたいである。

(VP KAGAMI)

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