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色物[芸能]

いろもの

 色物(いろもの)とは、寄席演芸において色取りを添えるために上演される芸能。現在の東京の寄席では、主役の落語に対する漫才、奇術(手品)、曲芸、音曲、声色(声帯模写)などの芸をいう。江戸末期の寄席では、講談が幅を利かせていたようで、講釈師の先生が落語を色物と呼んで差別していたという(差別していたかどうかは知らないが、昔の講釈師の先生がいばりちらかしていたことは確かなようだ)。また、義太夫が流行った時期も、落語が色物と呼ばれたこともあり、要するにメインの演芸に対するサブの演芸を「色物」と呼んでおけば間違いはなさそうだ。

 近年でも大阪の演芸場では、漫才が主役で落語は色物扱いを受けているが、演芸場そのものを「色物席」と呼ぶことがあったようなので、漫才が色物だという自覚はあったらしい。というか、「そんな区別はどうでもいいやん」という気分だったのではないかと思われる。実際、現在でも「大阪の寄席」で検索すると、落語の定席が上位にあらわれ、漫才などは色物として扱われているので、全国的に「寄席」という空間においては、落語がメイン、漫才などはサブつまり色物という扱いでよいかと思う(まあ、どうでもいいんですが)。

 ところで、この「色物(いろもの)」という呼び方について落語家などは、寄席の表に掲げられている出演者の名札やプログラムで、色物は朱文字で書かれているからと説明しているが、色取りを添える演芸だから朱文字で書かれるようになったと考えるほうが適当ではないかと思う。(VP KAGAMI)

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