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関連用語
金欠
きんけつ
金欠とは、金銭が不足すること、不足していること。つまり貧乏のことだが、ふだんはそこそこの生活をしていても、なんらかの事情で一時的な資金不足に陥っている状態をいう場合が多い。例えば「ここんとこ、金欠状態でして」のように、「金貸して」の枕詞として多く使われる。
「金欠」は、慢性的な金不足を意味する「金欠病」という語が明治時代に作られたのが端緒と考えられている。『精選版日本国語大辞典』(小学館)には、明治40(1907)年刊の『滑稽界』(やたらと発禁処分を受けているとんがった雑誌らしい)に「数年来の金欠病」とある。一時的な資金不足を「金欠」というなら、「金欠病」はずばり「貧乏」そのものであり、『滑稽界』でも「百万医療を尽すも些(いささか)の効能なし」と断言されている。
現代中国に「缺銭病(欠銭病)」という言葉があるが、これは日本の「金欠病」の翻訳語なのだそうだ。一方、中国には「金穴(きんけつ)」という熟語が古くからある。これは文字通り「金の穴」つまり金坑(金鉱の坑道)、金を貯める穴蔵(金蔵)を意味し、そこから、金の出所、出資者、金持ち、富豪の意味で使用されるようになった。「金穴」は日本にも伝わって平安末期にはすでに使用されていたことがわかるが、日本の読み方では「金穴」と「金欠」は同じなので、おそらく『滑稽界』の寄稿者がシャレで、意味の正反対となる「金欠」を造語し、おもしろがって使ったのではないかと思われる。「金穴」と「金欠」は中国語では発音が違い、このシャレは通じないので、日本人が思いついたものとみて間違いはなさそうだ。
(VP KAGAMI)
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