top of page

食指が動く

​しょくしがうごく

 食指が動くとは、うまい料理を見て、または、うまい料理を期待して食欲がわくという意味。そこから、ある対象に興味や関心がわくという慣用語として使われる。「あの選手の活躍を見てオーナーの食指が動いた」という場合、オーナーはレクター博士のように食欲がわいたわけではなく、札束を積んでその選手を獲得したいという気持になるということである。

「食指」とは人差し指のこと。『春秋左氏伝』宣公四年の記事によると、中国西周時代の国家・鄭(てい)の宰相・子公(しこう)は国王・霊公に会いに行く道すがら、人差し指が動く(どう動いたのはわからない、たぶんぴくぴくと…)のを同行した宰相の子家に見せて、「この指が動いたからたぶんうまい料理にありつけるぞ」と予言した。はたして霊公はすっぽん料理を用意していたが、「子公が予言していた」という話を彼らから聞くと、いじわるをしてわざと子公にそれを食べさせなかった(子どもかっ!)。これを屈辱と感じた子公はすっぽん料理の入った鼎(かなえ)に指を突っ込んでその指をなめ、予言を果たした(こっちも子ども以下だな)。霊公は子公の無礼に怒ってこれを討とうとするが(おいおい…)、子家に諫められてその場は収まった。しかしこの件に恨みをいだいた子公は、その後子家を誘って霊公を討ったという(どいつもこいつも…)。こういう子どものけんかみたいなしょーもない話が「食指が動く」の原典となっているのだが、話全体を見ると「すっぽんの恨み」とかで「食い物の恨みは恐い」というご教訓になりそうだが、「食指が動く」という子公の、話そのものに輪を掛けてばかみたいな超能力のインパクトが強すぎたせいか、こちらが後世に残されて現在にいたっている。(VP KAGAMI)

関連用語

bottom of page